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white circle

白い羽毛の舞うなか
 白い便器
に座る 天使のあなた
天国の卵が雲を転げ
ミルクが地上へと零れる

 それを神の恩寵だと受け取るのは誰?

便器から生まれ羽ばたいてゆく蛾たちは
天使の姿に似て
真夜中の地上に無限の夢をもたらす

 神は人間の姿に似せて創られた
都合よく!

溜め息のシャボン玉が天空へと向かう
それは天使の描く円にすっぽりと収まり
衛星になって回っている
 終わりもなくはじまりもなく

また蛾の瞬きと
ともに
ミルクが降る 零れる
# by Fujii-Warabi | 2011-10-26 18:36 | 藤井わらびの詩

黒い犬

黒い犬_c0094173_12133570.png



※『紫陽』22号掲載
# by Fujii-Warabi | 2011-10-15 12:14 | 藤井わらびの詩

中島麦展「悲しいほどお天気」を観て

中島麦展「悲しいほどお天気」を観て_c0094173_1610208.png


9/10(土)夕方より
Gallery OUt of PLACE [奈良]にて中島麦展「悲しいほどお天気」のオープニングパーティーに参加してきました。
大盛況で人がぶつかるほど多く、交流三昧でした。

作品は空間でひとつ、といった感じ、余白の多い展示です。
コンセプトについてはうちに帰って考えてからなんとなく気づきました。

まず観ていただきたいので、ここでは多くを書きません。
色彩が元気づけてくれること間違いなし。
まさに「悲しいほどお天気」なのです。

展覧会は10/10まで。
詳細は
http://www.outofplace.jp/G.OoP/current%20show.html
# by Fujii-Warabi | 2011-09-12 16:11 | 芸術鑑賞

『紫陽』24号

『紫陽』24号はお手元に届きましたでしょうか?
これにて終刊、解散となりますが、今回も素晴らしい号になりました。
(以下、内容です。)
 
後藤和彦     明日の手紙
           犬のサンクス 
貞和        俳言
風梨子       パチンコ屋のカミサマ
倉橋健一     一齣
小林坩堝     風狂 ―地図があるならば破り棄てろ即座に
三刀月ユキ    動物
倉田めば     ヘルプ
金子忠政     三日後
あおい満月    歳月
           巡回旅人
芦田みのり    ささやき
鬼原みち子    鷗(かもめ)の詩(うた)
ポーラ・ミーハン 木(こ)の実
(藤井わらび訳)
藤井わらび    Cutting off/流れるものたち
           小さな小さな童話 
ヤリタミサコ    カゾクマイノリティ
石瀬琳々     声を聞いた
北山兵吉     大震災
           あ~ァ
亰彌齋       月碧症(げっぺきしょう)
野村喜和夫    廃墟について考えています
竹村正人     考察 その参 ―もえるきみの名に
           国道二〇号線/創始
竹村正子     男にはないが、男にもあればいいのに
X          傷む心 見えない明日
寮美千子     心の地層に眠る言葉の結晶
             ~「傷む心 見えない明日」に寄せて
武中光男     太陽
松本タタ      カレイドスコープ

  <<俳句>>
志郎    ダダ貫   駄々村




      
# by Fujii-Warabi | 2011-09-06 19:31 | 紫陽の会

パスの詩

  夜明け 
          オクタビオ・パス

冷たくてすばやい手が
闇の包帯を
ひとつずつほどく
ぼくは眼をひらく
        それでも
ぼくは生きている
        まだ生々しい傷の
中心で


※真辺博章訳『オクタビオ・パス詩集』(土曜美術社出版販売、1997年)より


MADRUGADA
                 Octavio Paz

Rápidas manos frías
retiran una a una
las vendas de la sombra
Abro los ojos
todavía
estoy vivo
en el centro
de una herida todavía fresca


DAWN

Cold rapid hands
draw back one by one
the bandages of dark
I open my eyes
still
I am living
at the center
of a wounded still fresh


※Carcanet Press"OCTAVIO PAZ Collected Poems:1957-1987" edited and translated by Eliot Weinberger


[memo]
傷は他者の目には治ったように見え、すばやく包帯が解かれる。
でも、心の傷は容易に治るものではない。
本人のみが痛みを知っている。

タイトルは「夜明け」。
闇の包帯が解かれて、剥き出しの傷のまま生きてゆかねばならない。
その覚悟ができているから、このタイトルなのだろうか。
# by Fujii-Warabi | 2011-08-14 19:43 | 詩人・芸術家の紹介