夕霧の降りそそぐ中
ふたりは閉ざされたまま佇んでおりました
だめなのね
わたしはガラスの涙を流しました
あぁ
彼は凍えそうなガラスに目を背けました
わたしは王に仕える
アンドロイド
プログラムされた人工頭脳
胸の高鳴りさえ
規則正しい機械音
彼はもうすぐ息絶える
命短くともたくましい羽
(以前も同じだったわ ごめんなさい)
地も吸わぬ偽物の涙を流すうち
彼は使命の空へと飛び去ってゆきました
※紫陽の会『紫陽』6号(2005年5月20日)、詩人会議グループ風歌『畑からのあいさつ』18号(2006.9.22)掲載