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神の子猫

ツナ缶を夢中で食べた
その子はぐっすり眠る
私のクッションの上で
我が家に無事に辿り着いた小羊のように

幾多の誘拐の企みが失敗に終わったのも
きっとこの子の帰りを待っていたから
もう二度と別れたくない と私は泣いて
雨宿りは一生いっしょにこの家ですることにした

高い死の峰を越えた時
神様から授かった白い同行者
その全身は愛と好奇心で満たされた
猫の姿を借りた 幼い妖精

何度捨てられても 死にそうにひもじくても
大切なことは忘れずに
私の家を選び いとも軽々と運んできた
裏切られて擦り切れかけた 私の心に

永い雨が降っていた
この子を家から追い出さないように
魔の闇へと放り出さないように
裏切られた私がもう復讐しないように

永い雨が降っていた
雨を止める祈りに留まらず
黒い夜雨のトンネルを潜(くぐ)り抜けた
この子の白さを私は学ばねばならない
遠くからでも光る強靱さを



※紫陽の会『紫陽』10号(2006年9月20日)掲載
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by Fujii-Warabi | 2006-11-01 16:48 | 藤井わらびの詩

「シャヒード、100の命」展によせて

わたしが「わたし」ではなく「35」
ならばイヤだ
わたしが「わたし」ではなく「11428」
でもイヤだ

この社会のありとあらゆる人々が、物が
数量化され
個体を亡くしてゆく

身分証明証が今月あたり
発行されるという
ただ生を管理するために
ただの数字にするために

100の命
“100”
観るまでは大きな数字ではなかった
けれども
百人には
百人のストーリーがあり
百人のドラマがあり
百の顔を持つ
その家族・親族・友人は何十人にも
何百人にものぼるのだ

重すぎる
一つの命には何百もの
何万もの命が関わっている

9・11のみの偏ったストーリー
うまく仕立てられたドラマ
(お涙ちょうだいもの?)

「イマジン」
ジョン・レノンの歌がよく歌われた
流された
その人の生きた時代から少しも進歩していない証拠だろうか

でも
イマジン
想像を働かせるより他にないのだ
情報操作されたなかでは
難しいことかもしれない

次には
シンク
考えてほしい
百人の命を、顔を
殺されなければ・・・、ということを

遺品はそのきっかけとなろう

                                (二〇〇三年八月二九日)



※「シャヒード、100の命」展は、2003年10月7日~19日大阪人権博物館リバティ大阪にて開催されました。URL: http://www.shaheed.jp
この詩はリンク集にあります。

※紫陽の会『紫陽』2号(2004年1月20日)、風歌『畑からのあいさつ』9号(2003.11.1)掲載作品
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by Fujii-Warabi | 2006-10-23 10:34 | 藤井わらびの詩