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『紫陽』17号の紹介、およびニュース

『紫陽』17号は扉言葉がモーリス・ブランショ『書物の不在』より、
寄稿者は25名でした。

〈作品〉
寮美千子「象のいる渚」
布島佳枝「3ヶ月レポート」
吉岡太朗「空束は贈るにむなしい」
石瀬琳々「雪に踊る」
竹村正人「たんぽぽ」
幽間無夢「空(かお)」
亜子米「手のひらを這うむしの擦りあし」
   「(そこから 春の 海でした)」
   「夜なき漂流記」
西きくこ「空き缶」
ぴゅーとん「わっか」
かつきあみ「たまゆら」
白川貴美「川端五条で」
窪ワタル「潮の目」
川原寝太郎「偽物の雪が降る街で」
佐藤佳紀「サイケデリック・ワンダーランド」
    「バタイユ・ナイフ」
    「形而上学の犠牲者」
pace「疾走」
松本タタ「クラブ・ドンパチの功罪」
水流村=バンコラン「ポポー」
オーヤナギ「風(かぜ)の生(せい)」
     「火岸花(ヒガンバナ)  -野火(ノビ)-」
三刀月ユキ「フリーフォール」
     「初夏のメルヘン」
亰雜物「桶の狭間を埋める二〇〇八年一二月の塵芥」
   「二〇〇八年九月の釜、あるいは盃」
武中光男「輝く太陽」
    「城と城下町」
藤井わらび「夜双曲」
     「カシオペア」
北山兵吉「そう思って」
    「誕生日」
    「あ~ァ」
米田量「花」
鈴川夕伽莉「針の風 凪の檻」


今回も力作揃いです。
できあがった『紫陽』をざっと見てみると、
様々な作品があるのに、一貫したものがあることに気づかされます。
この世界に向き合い、重さを受け止め、自分たちから発光していく、
そんなしなやかな強さを感じます。

17号の読者会は3月8日13時30分より、奈良市内の古書喫茶「ちちろ」にて。
場所は ちちろHP http://www2.odn.ne.jp/~cdl17850/
および「紫陽だより」の地図をご覧ください。

次号は4月10日原稿締切。3篇までの投稿が2篇までに変わりました。
住所・電話番号・メールアドレス・購入冊数・コメント(寄稿者一覧に掲載するもの、160字まで)等の記入もお忘れなく。
事務作業をスムーズに進めるためにも投稿料のご入金も締め日までによろしくお願いいたします。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-31 11:34 | 紫陽の会

W.B.イェイツを読む朗読会etc.

イダヅカマコトさんのブログ「文学的ハードコアによる全てを詩で読みたいブログ」でアイルランドの詩人、W.B.イェイツ(1865-1939)が紹介されていました。
こちら⇒ http://literturehardcore.blog51.fc2.com/blog-entry-163.html#comment139
金子光晴&尾島庄太郎の翻訳と対談『イェイツの詩を読む』、それから「さまよえるイーンガスの歌」を取り上げておられます。
さらに面白そうな企画を発見!
なんと東京でイェイツの詩を英語のまま朗読するそうです。

3月20日(金)14:00~ 場所:そら庵(東京・深川)
おも茶箱2009年春の巻「孤塔詩人、W.B.イェイツの詩を楽しむ午後~イェイツ? Yeats!」入場料1000円(1ドリンク付き)
http://www.geocities.jp/sora_an_111/

イェイツを読んでいる人自体に出会わないので、
なんだか心がぽかぽかしてきました。
私は十数年前、イェイツを学んでいるときにインスパイアされ詩作を始めたので、
イェイツというと懐かしさとともに浮かんできます。
といってもノルタルジックな想いだけでなく、今も魅了されています。
朗読会が近ければ行きたいのですが…。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-30 11:33 | 英詩・アイルランド詩・英語詩

『紫陽』17号発送終了

『紫陽』の製本作業は25日(日)、
詩人の竹村君、米田さんにボランティアスタッフとして来ていただき、
無事終了。
そして昨日発送準備を行い、昨日と今日に分けて
発送しました。
今回、投稿者が前号の特大記念号より多くなってしまい、
編集や事務作業に手間がかかったこと、
あと年末年始は忙しかったということもあり、少し遅れてしまいました。
申し訳ありません。

17号の『紫陽』読者会は3月8日(日)1時30分より古書喫茶「ちちろ」にて。
寒いかもしれませんから、冷え性の方は厚着の上、毛糸の靴下、カイロ、膝掛け等ご持参ください。
投稿者はもちろん、読者の方もどしどしご参加を!
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by Fujii-Warabi | 2009-01-28 15:04 | 紫陽の会

T.A.さんによる『むらさきの海』評

詩集『むらさきの海』の書評を詩人のT.A.さんが
ご自身のブログ「fragments」で丁寧に書いてくださっています。
大変ありがたいことです。
こちら⇒ http://yaplog.jp/fragments0408/archive/9

「問うこと」は私の詩あるいは性格の根本ではないかと思います。
「答え」は「答えだと思うもの」としてその時その時違うものですから、
その都度問い、答えらしきものを探す、
そういう点の連なりが詩集であり、人生であるような気がします。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-08 15:35 | 藤井わらびの詩集

個人的なリンク集

exblog以外のブログ・HPをリンクに入れられないので、
ここでぼちぼち紹介したいと思います。
とりあえずアドレスを貼るだけですが。すみません。

★詩・詩人

かづきあおいさん 「葵楓亭」 http://www.geocities.jp/cocoabcigarette/
河津聖恵さん&川口晴美さん&北爪満喜さん&薦田愛さん 「詩のテラス」 http://maruta.be/terrace_of_poem
……往復書簡のように交互に書かれている濃密で詩的なブログ。詩による共同性、失われてゆく今の時代に詩作することの意味について考えさせられます。
イダヅカマコトさん「詩と書評とマインドマップで作る発想紹介ブログ」 http://literturehardcore.blog51.fc2.com/
……イダヅカさんは非常にまじめで静かなのに熱い方です。
このブログはとても為になります。イダヅカさんと知り合いになったきっかけは京谷、そして直接的にはフランシス・ポンジュの私の引用を上記のブログにトラックバックしてくださったことでした。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-08 15:05 | リンク集

『紫陽』参加者のブログ・HP

★投稿者

鈴川夕伽莉さん 「ひかりさすにわ」 http://yaplog.jp/yukarisz/
paceさん 「うつくしさ」と「おそろしさ」の間に http://blog.goo.ne.jp/pace-e-asia
石瀬琳々さん 「風とオーチャードグラス」 http://d.hatena.ne.jp/lyricism3/20100513/1273726440
亜子米さん 「リンゴがすきりゆうはナシ」 http://akobey.site90.com/
関根悠介さん 「VAGDIK」 http://blog.livedoor.jp/vagdik/
上田假奈代さん 「日々。生きる現代文学」 http://booksarch.exblog.jp/
寮美千子さん 「HARMONIA」 http://ryomichico.net/
福田理(りー)さん 「INOCHITOWA KANBINAMONODA」 http://ri-jessica.at.webry.info/
河津聖恵さん 「詩空間」 http://reliance.blog.eonet.jp/default/
Tokihiko ARAKIさん 「fragments」 http://yaplog.jp/fragments0408/
亰彌齋 「亰雜物的野乘」 http://zatsuzatsukyoyasai.blogspot.com/

(順不同)

※この覧への掲載を希望される、ブログ・HPをお持ちの『紫陽』投稿者・読者の方、藤井の方までご連絡ください。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-08 14:48 | リンク集

ワイルド「To L.L.」を訳してみました。

  バラとヘンルーダ  Roses and Rue
      -L.L.に
               オスカー・ワイルド  Oscar Wilde

ぼくらは長く埋められていた宝物を掘り起こすことができるだろうに、
  それがよろこびに値するのなら。
ぼくらは決して恋歌を覚えることはできないだろう、
  あまりに長く引き離されているから。

試練にみちた情熱的な在りし日が
  死者を呼び戻すことができるだろうに、
ぼくらはふたたびその日を生きることができるだろう、
  それが痛みに値するのなら!

ぼくは想い出す、常春藤(きづた)の繁みで
  ふたりよく逢っていたのを。
きみは美しい詞(ことば)をさえずった
  鳥のような調子で。

きみの声には8分音符があった、
  ちょうどムネアカヒワのように
そして震わせた、クロウタドリの喉のように
  最後の高い音符で。

きみの瞳は緑と灰色で
  4月の白日(まひる)のようだった
でもぼくがかがんでキスすると
  光り輝きアメジストとなった。

きみの口は笑わなかったのだろう
  長い、ながい間。
それが笑いが溢れんばかりにさざめいた
  5分後に。

きみはいつも驟雨を恐れていた
  ちょうど花のように。
ぼくは憶えている、雨が降りはじめたとき
  きみがびっくりして駆けだしたことを。

ぼくは想い出す、決してきみをつかめなかったことを、
  きみにつり合うような人は誰もなかったから。
きみには速くて輝く、不思議で
  小さな翼が足にあった。

ぼくは想い出す、きみの髪を、
  -ぼくはそれを結んだね? いつも奔放だったから-
もつれた黄金の日光のようだった。
  もうそれも昔のこと。

ぼくはよく憶えている、あの部屋を、
  そしてリラの花が
あたたかい6月の雨のなか
  しずくの流れる窓ガラスを叩いていたのを。

そしてきみのガウンの色、
  琥珀(こはく)がかった茶色で、
薔薇色の両肩から
  黄色いふたつの蝶結びが垂れていた。

きみはフランチレースのハンカチを
  顔にあてていた-
ちょっとした涙でしみができたのか?
  それともそれは雨だったのか?

サヨナラ、と振ったきみの手には
  蒼い静脈が見えた。
さようならと言うきみの声は
  怒ったような泣き声だった、

「あなたは自分の人生を無駄にしてるだけよ。」
  (ああ、その言葉はナイフだった!)
庭の門を急いで走り抜けたときには
  すべてがもう遅すぎた。

ぼくらはふたたびその日を生きることができるだろう、
  それが痛みに値するのなら、
試練にみちた情熱的な在りし日が
  死者を呼び戻すことができるだろうに!

もしぼくの心がはり裂けなければならない運命(さだめ)なら、
  愛しい人よ、きみのために、
音楽のなかで裂けるだろう、
  詩人の心とはそういうものなのだ。

しかし奇妙なのは話されなかったことだ
  神の在す天国と地獄の
小さな象牙の小部屋に
  頭脳を容れることができるということを。


※日夏耿之介『ワイルド詩集』(新潮文庫、1936年)を参考にしました。


ざっと訳してみました。
おかしい所もあるでしょう。見つけられた方は遠慮なくご指摘ください。

日夏さんの訳詩は「could」がすべて過去形の「できた」となっているのですが、
恋人は去っていって戻ってこなかったようなので、
ふたりで思い出を語り合ったり、やり直したりすることができなかったと
考えるのが自然だと思います。
なので、仮定法として「~~であれば、~~できるのに」と願望の現在形で訳しました。
(1連4行目が「We are」という現在形なのはそういう理由だと思います。)
それからタイトルの「Roses and Rue」ですが、
バラRoseは愛、恋人の象徴、ヘンルーダRueという植物は悔恨・悲嘆の象徴だそうで、
恋人と詩人、あるいは詩人自身の気持ちを表しているのでしょう。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-06 23:05 | 英詩・アイルランド詩・英語詩

2009年を迎えて

年が明けましたね。
今年もよろしくお願い致します。

昨年に引きつづき、
オスカー・ワイルドの「To L.L.」が頭を離れないので、
とりあえずアップしてみました。
ワイルドの詩は日本ではマイナーですし、
訳も少ないので、また簡単にこの詩の訳も載せてみたいと思っています。
この詩はすべての連の1行目と2行目、3行目と4行目の末尾で
韻を踏んでいて(脚韻)、朗読すると非常に美しい作品です。
『Voices and Poetry of Ireland』という朗読CDがうちにはあるのですが、
朗読している俳優さんが素晴らしいことも相まって聴き惚れてしまいます。
今年も詩に酔いつつ、ぼちぼち創作して過ごしたいものです。
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by Fujii-Warabi | 2009-01-03 14:12 | 身辺雑記

オスカー・ワイルド「L.L.に」

   Roses and Rue
    (To L.L.)
                     Oscar Wilde

Could we dig up this long-buried treasure,
Were it worth the pleasure,
We never could learn love's song,
We are parted too long.

Could the passionate past that is fled
Call back its dead,
Could we live it all over again,
Were it worth the pain!

I remember we used to meet
By an ivied seat,
And you warbled each pretty word
With the air of a bird;

And your voice had a quaver in it,
Just like a linnet,
And shook, as the blackbird's throat
With its last big note;

And your eyes, they were green and grey
Like an April day,
But lit into amethyst
When I stooped and kissed;

And your mouth, it would never smile
For a long, long while,
Then it rippled all over with laughter
Five minutes after.

You were always afraid of a shower,
Just like a flower:
I remember you started and ran
When the rain began.

I remember I never could catch you,
For no one could match you,
You had wonderful, luminous, fleet,
Little wings to your feet.

I remember your hair-did I tie it?
For it always ran riot-
Like a tangled sunbeam of gold:
These things are old.

I remember so well the room,
And the lilac bloom
That beat at the dripping pane
In the warm June rain;

And the colour of your gown,
It was amber-brown,
And two yellow satin bows
From your shoulders rose.

And the handkerchief of French lace
Which you held to your face-
Had a small tear left a stain?
Or was it the rain?

On your hand as it waved adieu
There were veins of blue;
In your voice as it said good-bye
Was a petulant cry,

‘You have only wasted your life.’
(Ah, that was the knife!)
When I rushed through the garden gate
It was all too late.

Could we live it over again,
Were it worth the pain,
Could the passionate past that is fled
Call back its dead!

Well, if my heart must break,
Dear love, for your sake,
It will break in music, I know,
Poets' hearts break so.

But strange that I was not told
That the brain can hold
In a tiny ivory cell
God's heaven and hell.
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by Fujii-Warabi | 2009-01-03 13:53 | 英詩・アイルランド詩・英語詩