カテゴリ:芸術鑑賞( 34 )

アレックスは不滅だ。

以前、よく意味が分からず眠かった映画とこんな形で再会するとは。
カラックス/アレックス三部作、観終わる。狂気に踊ってしまう完結編、素晴らしかった。
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by Fujii-Warabi | 2016-04-05 23:03 | 芸術鑑賞

ききすぎの「偽薬」

昨日、UK拠点のオルタナティブロックバンド・PlaceboのCDが届く。彼らのアルバムは3ヶ月で6枚購入し、これで『Meds』以外が揃った。どのアルムバムもカラーが違い、音楽はPlaceboだけで事足りるという有様だ。


今回はデビューアルバムを入手したのだが、なぜこれをなかなか購入しなかったのかというと、音がジャカジャカしているとの批評があったからだ。しかし、聴いてみると想像したようなジャカジャカ感はなかった。エネルギッシュな若さは他のアルバムより感じるが(ボーカル・モルコの声が高い!)、やはりシック。真夏の海のような熱さはなく、せいぜい秋晴れの体育祭ぐらいの熱っぽさだ。寂しい夜のお供になってくれそう。


彼らの音楽を聴き始めた頃はどれぐらいハマるか予想がつかず、関心に任せてアルバムを手にした。

カスタマーズレビューによる先輩がたの意見から『Without you I'm nothing』を皮切りに、『Sleepingwith ghost』『Loud like love』『Black marcket music』『Battle for thesun』と続き、『Placebo』で現在に至る。

結局、見事に心を撃ち抜かれてしまったのである。モルコのカリスマ性の薄さは彼が音楽そのもののように感じられるし、ハゲようがデブろうが「らしさ」として愛するし、適当な衣装も音楽を最優先していると受け入れられる。

とにかく、何度聴いても様々な発見があって飽きない。


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また、「1984体験」と名付けた運命を感じる出来事が起こり、詩的イメージによって切っても切れないご縁がある気がするのだ。

彼らのイメージ。そこがわたしのホーム。彼らの生い立ちと私のはまったく違うが、郷里を持てなかったモルコは詩の伝統を汲んで新しいホームを造った。私もそこに匿われて、また異郷へと毎日出かけてゆくのである。


それぞれの太陽を掴むたたかいがつづいてゆく。


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by Fujii-Warabi | 2014-09-15 13:32 | 芸術鑑賞

滝口修造展

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原始生物か異世界か
この現代の二次元にパックリ開いた裂け目から無防備にかれらは身を晒している
一瞬感じる違和は
眺めつづけると心地よさへと変わる
わたしに眠る遠い神秘の記憶が甦るからだろうか
瀧口はシャーマンに違いない

滝口修造展
TEZUKAYAMA GALLERY にて
2014年6月14日まで



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by FUJII-WARABI | 2014-06-01 14:15 | 芸術鑑賞

朔太郎の死なない蛸

   死なない蛸
                      萩原朔太郎

 或る水族館の水槽で、久しい間、餓ゑた蛸が飼われてゐた。地下の薄暗い岩の影で、青ざめた玻璃天上の光線が、いつも悲しげに漂ってゐた。
 だれも人々は、その薄暗い水槽を忘れてゐた。もう久しい以前に、蛸は死んだと思われてゐた。そして腐つた海水だけが、埃つぽい日ざしの中で、いつも硝子窓の槽にたまつてゐた。
 けれども動物は死ななかつた。蛸は岩影にかくれて居たのだ。そして彼が目を覚ました時、不幸な、忘れられた槽の中で、幾日も幾日も、おそろしい飢餓を忍ばねばならなかった。どこにも餌食がなく、食物が全く尽きてしまつた時、彼は自分の足をもいで食つた。まづその一本を。それから次の一本を。それから、最後に、それがすつかりおしまひになつた時、今度は胴を裏がへして、内臓の一部を食ひはじめた。少しづつ他の一部から一部へと。順々に。
 かくして蛸は、彼の身体全体を食ひつくしてしまつた。外皮から、脳髄から、胃袋から。どこもかしこも、すべて残る隈なく。完全に。
 或る朝、ふと番人がそこに来た時、水槽の中は空つぽになつてゐた。曇つた埃つぽい硝子の中で、藍色の透き通つた潮水と、なよなよした海水とが動いてゐた。そしてどこの岩の隅々にも、もはや生物の姿は見えなかつた。蛸は実際に、すつかり消滅してしまつたのである。
 けれども蛸は死ななかつた。彼が消えてしまつた後ですらも、尚ほ且つ永遠にそこに生きてゐた。古ぼけた、空つぽの、忘れられた水族館の槽の中で。永遠に――おそらくは幾世紀の間を通じて――或る物すごい欠乏と不満をもつた、人の目に見えない動物が生きて居た。


※詩でとぼう☆翼の会(仮称)第8回で読まれた詩作品。


  手足とは生きることを可能にする手段であると思う。
まづはその手段を食い、餓ゑをしのぐ。次には生の衣を、そして生そのもの(目的)といえる脳髄と、胃袋を食う。実際には脳髄以降はあり得ないないのだが…。

 私はこれをしたことがあるので、この詩を読むと胸がひりひり痛い。
手足が言うことをきかないのは、昔食つてしまつたからだと思う。
生を希む力の回復は、水槽をがんがん叩くことから始まるだろうか。もう自分の手足は食わないぞ。
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by Fujii-Warabi | 2013-04-20 22:25 | 芸術鑑賞

ジャクソン・ポロック展を観て

この前の日曜日、
愛知県美術館でジャクソン・ポロック展を観てきました。
ポロックの作品は世界各地に散らばっているため、なかなか大規模な回顧展は開かれないようで、貴重な展覧会でした。

現代アートはわかりにくい、と言われることもありますが、彼の絵は音楽的で誰もがなにかを感じられるような作品であると思いました。
カオスのようでいて統一感があり、何を語っているのかが伝わる、
ポロックは知的な作家です。

現状に留まることをせず、色々な手法を試して苦悩したのちに劇的な事故で亡くなります。
44年の人生、アーティストらしい人です。

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ポーリング、ドリッピング、ステイニング、その時代の変遷に生命を感じました。
晩年は具象に還り、評価は落ちますが、
私はシンプルな美を見ました。
あのままステイニング(染み込み)をつづけてもよかったのでは?

ポロックの作品はひとつひとつが宇宙をもっており、
文句を言えば、完璧すぎるということ。もうちょっとスキがあるものが好きです。
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by Fujii-Warabi | 2012-01-25 13:30 | 芸術鑑賞

ダダ貫映画評

先月、仙台で映画『ダダッ子貫ちゃん』上映会があったのですが、
ブックカフェ「magellan(マゼラン)」店主高熊氏が素晴らしい評を書いています。
http://blog.magellan.shop-pro.jp/?eid=724852

評を久々にわくわくしながら読みました。
また、もやもやと感じていたことが言葉によってすっきり捉えることができ、ダダ貫氏の「人生」という運動について見えてきたものがありました。

是非、お読みくださいね!
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by Fujii-Warabi | 2011-11-14 13:37 | 芸術鑑賞

中島麦展「悲しいほどお天気」を観て

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9/10(土)夕方より
Gallery OUt of PLACE [奈良]にて中島麦展「悲しいほどお天気」のオープニングパーティーに参加してきました。
大盛況で人がぶつかるほど多く、交流三昧でした。

作品は空間でひとつ、といった感じ、余白の多い展示です。
コンセプトについてはうちに帰って考えてからなんとなく気づきました。

まず観ていただきたいので、ここでは多くを書きません。
色彩が元気づけてくれること間違いなし。
まさに「悲しいほどお天気」なのです。

展覧会は10/10まで。
詳細は
http://www.outofplace.jp/G.OoP/current%20show.html
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by Fujii-Warabi | 2011-09-12 16:11 | 芸術鑑賞

コクトーについて

梅雨が明けて夏本番といった感じですね。
うちの家は意外に涼しく、現在の気温は27℃。今日はエアコンなしでした。

1日にやっと自宅のネットが繋がり、ブログを書こうかなという気が起こっています。
ネットカフェは本当に苦手で創造力が極端に下がるので、
入って30分もしたら逃げようという気持ちでいっぱいになり、文章を書くどころではなかったです。うちでネットのできるありがたさを今感じています。

最近はジャン・コクトーにはまっています。
冬に『恐るべき子供たち』を読んだのがきっかけ。
光文社新書の新訳が本当に素晴らしくて、訳者さんの情熱に感激しました。
他の訳も2冊なんとなく読み比べしてみたら、やっぱり全然違いました。

そんなことを友人に話していたら、
コクトーの映画をボックスで貸してくれました。
引っ越し前だったので、観られるかな?とは思ったのですが、
一本観ると引き込まれてしまって、あとは残すところ一作品(観るのが惜しい)。
『詩人の血』がフランス語版しかなかったのが残念。
コクトーは脚本も自分で書いているので、台詞が素敵なのです。
微妙な感情を表わしていて、うっとりします。

彼はシュルレアリストではあったのでしょうが、
反グロテスクで、映画は家族で観られる作品となっています。
表現は現代的で斬新。でも、古典の理念を曲げずに伝えています。
この二つのバランスが絶妙です。
悲劇を引き立たせるものは、背景のマヌケな喜劇であるあたりは
シェイクスピア演劇のよう。
愛についての哲学はやっぱりフランスは深いな~と思わされました。



(『美女と野獣』…前に貼り付けたのよりこっちの動画の方が野獣さんが可愛いので、こちらをどうぞ。)

(おそらくつづく)
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by Fujii-Warabi | 2011-07-09 22:05 | 芸術鑑賞

世界の詩の朗読シーン Ⅰ

スペイン・サラマンカでの詩の朗読会の模様。
サラマンカは大学の街だそうですが、ここも大学寮のフリースペースといった雰囲気ですね。



アイルランドの詩人・Theo Dorgan とPaula Meehanの詩を
英語・スペイン語・日本語で読んでいて、面白いです。

ここで読まれているのは、詩人両氏が2006年10月の来日のためにまとめられた詩集"The Sailor and the North Star (船乗りと北極星)"のように思われます。
この詩集は探してもどうしても見つかりませんでした。
どなたかお持ちではないでしょうか?
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by Fujii-Warabi | 2011-02-24 17:50 | 芸術鑑賞

Toybox2010 - Fujii Warabi "Calling the Names -to Gaza-" 『名前を呼ぶ ~ガザへ~』

昨年、バイリンガル詩集『TOY BOX 2010』 完成記念朗読会で読んでいただきました。





鈴川ゆかりさんの朗読は絶品です。
詩が見事に再生されています。誌面の詩よりもいいですね。

英訳の朗読をしていただいた編集者・芦田さんにはとことん英訳に付き合っていただきました。
ネイティブでなくても聴き取りやすく、美しい朗読です。

関西でもこういう硬派な朗読会を開きたいものです。
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by Fujii-Warabi | 2011-02-24 17:28 | 芸術鑑賞