佐伯祐三展-パリで夭逝した天才画家の道-を観て

ポエム・バザールの前に書きたかったのですが、ゆとりがなくて遅くなってしまいました。
先週の水曜(8日)、天王寺にある大阪市立美術館で佐伯祐三展を観てきました。平日というのにけっこう人が多く、年代も様々。美術館としては落ち着いたいい所なのでゆったりできるのか、それとも佐伯祐三ファンは熱烈なのかわかりませんが、じっくりと時間をかけて観ている人が多かった気がします。絵画や美術品が好きなのは当たり前ですが、私はその場自体が好きで、また観客もその場をつくっているものとして観察するのが好きです。(単に人を観察するのが好きという理由もあるけど。)
とにかく佐伯祐三展は凄かったです! 佐伯は1898年生まれ、1928年没、ととても短い生涯ではありましたが、ずっしりと重く、オリジナルを求める苦悩や孤独が滲み溢れ出るような画ばかりでした。パリ時代の絵が一番評価されているようで、私も好きなのですが、没後80年大回顧展だからこそどのようにして、あれらの絵が生まれてきたのかが、順を追いながらわかるようになっています。芸術は厳しく追い求めなければ得られないものだと語っているようで、それだけに佐伯の志半ばのあまりにも早い死に涙が出てきました。運命は残酷です。
今回の展覧会でわかったのは、佐伯は広告自体を実はメインに描いていたのではなかということ。背景の建物はキリッと聳え立つ感じなのに対して、広告は色鮮やかで文字は楽しげに躍っています。あとカフェの風景を描いたものも同じく、箱のほうより椅子やテーブルといった中味が踊っています。寒色の建物は佐伯の近くにあった死、あるいは佐伯自身の孤独や憂鬱を、暖色の広告や踊る文字は再び巴里に来られた幸運・幸福、また生のよろこびを表しているような気がしました。
しかし、泣きながらみている人はさすがにいなかったですね。それもちょっとした驚きでした。

佐伯祐三展は10月19日(日)まで。 大阪市立美術館 http://www.city.osaka.jp/museum-art/
06-6771-4874
おそらくこんな回顧展は20年先までないかと思います。
ただ美術展の途中に椅子がないので、コインロッカーに鞄を預け、少し休んでから観た方がよいでしょう。それから、図録は2200円ですが、よくできているのでお買い得です。
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by Fujii-Warabi | 2008-10-16 15:46 | 芸術鑑賞
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