『ヘルダーリン詩集』

最近読んだ詩集では、『ヘルダーリン詩集』(岩波文庫、川村二郎訳)が良かった。特に「パンと酒」。一行一行が深く、今の私では読みきれない。ヘルダーリンの詩は不思議な力を持つ。愛と光が頭の中にぱーっと広がり、とても心地いい。しかし、現代に溢れる「癒しの詩」ではない。彼の思想と信仰と学問が基本にあり、それゆえ難しい。だが、どこまでも人間性への信頼や共感があり、それが脳のどこかへどっと響いてくる(その感覚は神がやってくる時に似ている)。だから何度も何度も読みたくなる。また、川村二郎氏の訳が格調が高く非常によい。私も少し訳詩をしてみたが、ヨーロッパ言語と日本語は全く違うので、とても難しい仕事だ。ヘルダーリンの素晴らしい詩が読めるのは川村二郎氏のおかげでもある。
ヘルダーリンは自由を希求し、放浪したが、そのあたりもまさに詩人だと思う。私はあいにく虚弱体質なので体はあちこち行けないけれど、その分、心はいつもどこかへ行っている。寝て見る夢もあまりにリアルで、魂が体から抜けているのではないかな、と思ってしまう。「またあそこへ行こうよ」と言いかけて、あそこはどこだったかな?と考えると夢の中で歩いた町だったりする。
ヘルダーリンは一生の付き合いになりそうだ。
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by Fujii-Warabi | 2006-12-16 23:49 | 芸術鑑賞
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