冬を生き抜くために

暗闇に閉じこめられたとき
その子は震えた
たとえ私のにおいがしたにせよ
バタンと閉まるドア
(猫が闇を怖がる?)
その子は一歩も踏み出しはしなかった

すり寄りながら
長い路のりを旅してここにきた
〈さあ、おなかいっぱいお食べ〉
ただ その子は食事目あてでついてきた
わけじゃなかったようだったけれども

昼間姿を暗まし
長い闇を幾晩越えても
恐ろしい暗闇
私はそんなことも知らなかった
「のら猫にエサを与えないで下さい」
嫌がらせのようにエサ場に立てられた看板
フィデル、あなたは読んだんだね?
閉ざされた闇は絶滅収容所
生とは あの革命家のように
闘いだ
冬を乗り越えるには
寒さ、そして人間との闘いだ

また、あそこに動物愛護ポスターを貼ろう!
冷酷な役人の心にも
生ゴミのように捨てられたあの子たちのために



※大阪詩人会議『軸』第79号(2004.3.10)
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by Fujii-Warabi | 2006-10-27 23:16 | 藤井わらびの詩
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