光り輝くもの


オリーブ油をあげましょう
聖書の時代の王へと注ぐやり方で
頭のてっぺんからたっぷりタラタラと、香り立つ黄金の油
   などと想っていたら
彼女は万能油でないと酸化してしまう、と
彼が100均で見繕ってきた油をサッと足に差してくれた

「火の鳥~復活編~」のチヒロのような妖精的美人
シューマンの相棒のように健気で頑強な光り輝くクララ
私の友よ、と言ってみても
私の体とは根本的に造りが違うということは認めざるを得なかった

        * * *

〝放置しないで!〟
と子どもの字で書かれたスーパー脇の看板
あなたはここでいつも抱えきれない食品でヘトヘトの
私を待っていてくれた
(あなたは何も食べないのに……)
そんな日常がバーゲンのチラシとともに風と去り
今は
手枷 足枷 その上数字をふられ、
人質となる
二時間の辛抱だ
とはいえ
私があなたを繋ぎ
158
となる元クララ
その数字を私は今晩床に着くまで覚えているだろう
反復の日々を生きる私は
三日後もまた
158
に来てしまうのだろう
こうして創氏改名は進み数字に蝕まれていってしまうのか

見渡す限りの繋がれた彼女ら彼らすべてを
いつかハーメルンの笛吹きがぶっ壊したメロディーを口ずさみながら
アンドロイドの郷へと誘い連れ去ってしまいたい
万能油の湧くゆるゆるとした温泉天国へ


※『詩悠』2号(詩悠会出版、2010)掲載作品
[PR]
by Fujii-Warabi | 2011-04-24 02:45 | 藤井わらびの詩
<< 映画『ダダッ子貫ちゃん』上映会。 中島麦展とワークショップ >>