浜木綿

              吉原 幸子

あなたは立っている 蒼ざめて
まるで 咲いたときから枯れているようなはかなさで
うすい夕陽の
うすい影を砂におとして

小さな島の 岩場ごしに
海鳴りをきいているのは わたし?
海風に 白いからだを
やさしく揺すっているのはあなた?

ほろびてゆく種族(いのち)の孤独を
うすむらさきの芯にあつめて

松の苗木のむごい焼けのこりや
ちらばっているあきかんなどを
柵のなかから ひっそり眺めて

あなたは立っている
まるで はじめての日から肌寒かった うすい夏に
うすい影をおとすわたしの前に


※『魚たち・犬たち・少女たち』(サンリオ出版、1975年)


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何か涼しい詩を、と思ったのですが、
結局はかない作品をセレクトしてしまいました。

「うすい」の繰り返しが効果的で、他のはかない物たちと響き合っている感じがします。
でも、これだけ淋しい言葉を集めても、絶望的ではない。
本当の孤独とはそんなものなのかもしれないと思いました。
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by Fujii-Warabi | 2010-08-20 18:04 | 芸術鑑賞
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