ゾーン


漂い ただ寄ってゆく
"幸福"という名の神なる魔物のほうへ
人はいつも水のなかで眠り
おぼろげな夢のなかで望みに気づく

人影もなく 黒い不吉な犬がよぎる
でも気にしちゃいけない
そいつさえも生き物であり
同伴者となりうるのだから

人生はみな暗い洞窟だ
自分の声より
先に歩いた見えない者の声が響いている

私は何を想っている?
石を投げる
何が返ってくるか?
期待したとおりでは退屈し
予期せぬ事態には焦り戸惑う

愛は神聖な場所にはない
法則もない
痛みを負う覚悟なしにもない
近づいたと自負すれば
また振り出しに戻っている
〈愚か者〉なのだ


※アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』を観て
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by Fujii-Warabi | 2010-05-20 11:03 | 藤井わらびの詩
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