冬は耳がきこえにくい。

地球は実はぐるぐる回っているし、ぐらぐら揺れている。

それを感じられるこの季節。

春先にはばりばりと心の兜が割れる音がする。

痛いけれど、それがなくては、大きくはなれない。

眩暈と胸の痛み。憂い。

そして、気狂い。

これを乗り切るために一年がある。

成果を試す時が近づいてきた。


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   難聴
                  藤井わらび


路は導火線となり
鼓膜の中で華がパチパチ鳴っている
わたしは灼熱の海に投げ出された蝸牛

携帯電話を耳にあて
結ばれるのを待っている
その大切な人は声
便器の奥から噴き出すペリカンのような

“カムカム”
             そういえばかめかめという補聴器があった
招かれても一寸先は炎
“わたしの声きこえてる?
 今月の水光熱費はらえるかしら?”
“ヒヤヒヤ、ヒヤヒヤ”
―――ここはそこよ。

せっかく見つけた魚が燃えていた


※『紫陽』16号(2008.9)より
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by Fujii-Warabi | 2010-02-06 16:16 | 藤井わらびの詩
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