詩2篇

  小さな画家

絵の具がないから空のパレットから
色を頂戴した
誰にも出せないような光彩を使い
真っ暗な心に星を描いた

「空の星が翳(かす)んでいます。」
それはネオンのせいでしょう
ぼくは泥棒じゃない
あなたたちの方でしょう

校庭の一、二、一、二の掛け声 寒気がした
太陽のヤツ、ニヤリとした
ぼくの体に熱を入れようと
筆で太陽の黄を取り、体じゅうに塗りたくった

「旗の赤が薄くなりました!!」
いえ、太陽は赤くない
太陽はすべてを照らすもの
泥棒はぼくじゃないです


   家と子

父を殺したのは誰?
物陰から小型拳銃で狙い撃った
能面のか細い女
わたしはすぐ彼女を匿った

あんなに優しい人だったのに
膝をついて母は嘆く
まわりでたくさんの子どもたちもぴーぴー泣いている
でも誰も犯人を捜そうとはしない
数日経てばみんな忘れてしまうだろう
そして彼女も家族になるだろう

馬小屋を改造した狭い家
ひしめき合う中、大男が今日消えた
今日はわたしの誕生日
ケーキはないし当分ごはんにも困るだろうけど
わたしは外で拾い食いをするだろう
もう二度とつまようじなど啣(くわ)えない

スマートな手際だったね
彼女の耳元で囁く
わたしなら丸太で何度も何度も殴ったろうに、
やっと彼女はにっこり笑った

いつまでもいい子でいたかったな
でもやっぱりさぁ
母さんが口うるさいようでいて
父さんが二階でどっかり座り込んでいたわけだから

わたしらが心まずしいのは結局……
わたしたち二人は話半ばで寝入ってしまった


※紫陽の会『紫陽』第13号(2007年9月20日)

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最近自分の詩をアップすることを忘れていました。
『紫陽』に載せているから、まぁいいか、という感じで…、
あとは、2年も前のものを古く感じてしまうので。
『むらさきの海』を昨日読み返してみましたが、
他人の作品のように思えました。
どんどん変わってゆく中で、詩集という形で「過去」を振り返ることができるのは
詩集をつくった一つの意味でもあるのでしょうか。
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by Fujii-Warabi | 2009-05-11 17:34 | 藤井わらびの詩
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